労働組合は働く人たちが自らの意思でつくる、労働条件の改善や職場の安全確保などを目的としている団体です。
賃上げ交渉や働き方改革が注目を集める今、改めて組合の役割に関心が高まっています。
しかし、実際には組合がある会社と、そうでない会社の両方が存在しているのが現状です。
本記事では、労働組合の役割や仕組み、具体的な活動内容、そして加入のメリット・デメリットなどを分かりやすくまとめました。

労働組合とは労働者が団結し、賃金や労働条件を改善するための組織です。
企業は、「労働組合からの団体交渉を拒否できない」と労働組合法で定められています。これは働く側が不利にならないよう、その権利を守るための重要な法律です。
特に日本では、労働組合が春闘と呼ばれる労働環境の改善を求める活動を通じてベースアップを実現するなど、社会全体の賃金水準を動かすほどの影響力があり、大企業にとって欠かせない存在となっています。
従業員など労働者の権利が守られ待遇が改善されることを目指し、労働組合は主に以下の役割を担っています。
特に賃上げ交渉においては、労働者が個人単位で行うよりも労働組合の組織単位でベースアップを交渉した方が上手くいきやすいです。
昨今は急速に賃上げが進んでいますが、労働組合の存在が大きい大企業の方が賃上げに積極的であり、中小企業との間で賃金格差が拡大傾向にあります。

2024年時点における日本の労働組合の組織率は16.1%で、3年連続で過去最低を更新しました。
つまり、多くの企業には組合が存在せず、特に中小企業において、労働組合がない会社の割合が高いのが実情です。
その理由として、従業員数が少ない会社では組合をつくるための人員を確保しにくいほか、従業員と経営者との距離が近いため交渉構造が成り立ちづらく、労働組合を作っても組織化が進みにくい傾向があります。
また、経営者などに直接要望を伝えられる距離感であれば、労働組合がなくても時代の変化に合わせた条件交渉などを、従業員の個人単位で行うことが可能です。
労働組合を排除する行為は法律で禁止されていますが、実際には経営者の意向や価値観によって、労働組合を作ることに消極的な中小企業も多く見られます。
また、労働組合の運営費用は労働者が負担する原則があり、1人あたり月に数百円から数千円程度の負担が一般的です。
会社の財務状況を従業員が理解しているなど、交渉による待遇改善できる余地が少ないと感じている理由から、労働者側が労働組合の設立に消極的なケースも存在します。
結論として、労働組合は従業員数が多く経営者との距離が遠いほど、その存在する価値が大きくなりやすいと言えます。
経営者の立場から見ても、労働組合があった方が従業員の満足度が高まり、個別相談をせずに組合とだけ交渉すれば良いなど、一定のメリットがあります。

労働組合は、賃金・労働時間・安全・生活支援など、働く人々の権利を守る強力な仕組みであることは間違いありません。その一方で、組織率の低下や運営の難しさなど、現代ならではの課題も抱えています。
ここで重要なのは労働組合があるかどうかではなく、働く人々の声が職場に「しっかりと届いているか」という点です。
組合がなくても働きやすい会社や、組合があることでより良くなる会社、小規模で組織化が難しい会社など、企業には様々なケースが存在します。
組合加入のメリット・デメリット
労働組合は権利を守る装置ですが、万能ではないことを覚えておきましょう。
また、労働条件の改善交渉だけでなく、福利厚生の充実や組合員による共同購入制度など、組合独自の魅力的な活動を会社に取り入れることが可能です。
組合の有無だけが重要なのではなく、組合員が精力的に活動する姿勢があるかによって、その存在価値と従業員側の得られる恩恵が変わってきます。

労働組合は、組合員に対する共同購入や共済制度などを運営し、生活を守る役割も担っています。
よくある事例として、各種保険の団体割引、レジャー施設や宿泊施設などの割引、金融機関との提携による住宅ローンの優遇、社割制度の導入などが挙げられます。
しかし、このような生活支援制度を導入するには、保険会社など外部との交渉に手間がかかり、実現のために資金が必要となるケースもあります。
大企業では労働組合の運営費用を会社側が一部負担してくれることもありますが、中小企業の労働組合は独自の原資で運営するのが一般的です。
予算をかけた運営をすれば月々の組合費が高くなり、組合員である従業員から不満の声が出る要因となり得ます。
そのため、労働組合を作れば必ず従業員が満足してくれるとは限らず、適切な活動を行い、組織として機能できるかが重要です。