事業協同組合とは、同じ業種の中小企業が協力し合い、経営を支えるために設立される組織です。
業種ごとに抱える課題は異なりますが、共同化によるコスト削減や人材確保、行政手続きの簡素化、リスク管理の強化など、大きな効果を発揮します。
ここでは、大規模な組合が存在する建設・運送・農業・漁業の4つの分野に焦点を当て、各業種の組合がどのような役割を果たしているのかを紹介します。

建設業界は元請・下請の多層構造を特徴とし、人材不足や資材コストの高騰、安全対策など、様々な課題を抱えています。
業界特有の問題や課題を解決するため、建設業組合が行っている取り組みと支援制度の事例をご覧ください。
建設業は人手不足が深刻な業界ですので、中小規模の企業が単独で受け入れるのが難しい外国人技能実習生の共同受入れなど、組合のサポートは大きな助けになります。
また、労災保険の上乗せ制度や団体保険など、現場での安心につながるサービスも整っている建設業組合が、多くの企業の事業運営に欠かせない存在となっています。

運送業界は2024年問題による労働時間規制の影響が大きく、燃料費の高騰やドライバー不足など、経営環境が著しく変化しています。
運送業組合では、現場の負担軽減と効率化を目的に、次のような事業を運営しています。
人材不足が深刻化する中、外国人ドライバーの受入支援や労働環境改善のノウハウ共有など、組合に加入することで得られるメリットは大きくなっています。
特に、法改正や補助金情報を早く正確に入手できることや、同業者との関係構築ができることは、経営の安定化に大きく役立っています。

農業協同組合(JA・略称「農協」)は最も身近な組合のひとつであり、個人農家から法人まで、幅広い生産者を支援しています。
農協の主な役割と、行っているサービスの一例をご覧ください。
確かに、「農協を通じた集荷は高い手数料を取られる」といった意見もあります。
しかし、燃料や肥料などを単独で確保するのは、農業が盛んな地域では容易ではありません。
さらに、不作や自然災害に備えた保険制度があるなど、安定した農業経営を実現させるには組合への加入が必要不可欠であり、農協は農家に欠かせない存在として定着しています。
加入率は高水準で安定していますが、近年はSNSやインターネットで独自の販路を見つけるなど、農協に加入せず経営する農家も増えています。

漁業協同組合(略称「漁協」)は、スケールメリットによる利益の拡大だけでなく、海洋資源を守るという重要な役割を担っています。
漁業組合に加入せず漁師になることは可能ですが、操業できる漁業の種類に大きな制限を受ける場合や、他の漁師との間でトラブルになる恐れがあります。
まずは主な事業内容をご覧ください。
漁業組合は、漁港の使用や鮮度が落ちやすい海産物の販売ルート確保などを担っており、漁師にとって欠かせない存在です。
漁業は事故のリスクが高く、資源保護活動の重要性も高いため、一次産業の中でも特に組合の必要性と重要性が高い組織だと言えます。
業種ごとに異なる課題を抱える中小企業や個人事業主にとって、事業別の協同組合は心強い支援パートナーです。
組合に加入することで、コスト削減や経営効率化、人材確保、リスク管理など、単独では実現が難しい取り組みが実現可能になります。
ただし、必要性や重要性は業種によって異なります。まずは、自身の業種における組合の重要性や影響力を理解することから始めましょう。
